倭姫命と桑名

倭姫命(やまとひめのみこと)は、伊勢神宮に天照大神の御神体の八咫鏡(やたのかがみ)を祀ったとされる、第11代垂仁天皇の第4皇女です。
倭姫命の甥が日本武尊で、東夷の討伐に向かう日本武尊に、彼女が草薙剣と火打ち石の入った袋を与えたことが知られています。

     
        倭姫命                   日本武尊
和紙人形作家、阿部夫美子先生作         桑名市平群沢ため池公園内の像


第10代崇神天皇の時、天照大神は宮中に祀られていましたが、神威が強いということで、別地に祀られることになり、
皇女の豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)が天照大神を祀る場所を求めて旅に出ました。

その後、高齢となった豊鍬入姫命の任を請け、倭姫命は、大和国から伊賀・近江・美濃・尾張の諸国を経て伊勢の国に入り、
伊勢神宮内宮を創建したとされます。

伊勢神宮に巫女として奉仕した斎王。第1代は豊鍬入姫命、第2代は倭姫命とされていて、また 倭姫命=卑弥呼 という説もあります。

倭姫命が伊勢神宮を創建するまでに、八咫鏡を順次奉斎した場所は「元伊勢」と呼ばれ、桑名市内にも所縁の地が有ります。

 野志里神社  多度町下野代3073
 神館神社   江場1441番地
 尾野神社   東方西馬様 2194
 城南神社   安永816 

<野志里(のじり)神社>

伊勢の国に入り、八咫鏡を4年間お祀りしたのがこの神社とされています。

      
                                                                
境内には、長島一揆の犠牲者とも関が原の合戦の敗者とも諸説伝わる千人塚があります。 
また「奉力石」という150㎏の石があり、大正時代に持ち上げた6人の名前が掲示されてます。

      
                             千人塚 (傾いている)            奉力石

いなべ市東一色字岡山の子良(ねら)新田神明社の前に、忍比売命 神器焼窯之碑  (おしひめのみこと しんきやきがまのひ) が建っています。

    
        子良新田神明社                  石 碑

忍比売命は、垂仁天皇に仕える釆女(うめね)で、倭姫命が野代宮を仮の場所として留まった折、
神明社近くの員弁町平古(ひらこ)の土と井戸谷の水を用いて 「ひらか」 という神器を焼き、献上したとされています。


<神館神社>

倭姫命が巡幸した時、ここに休憩所として館が建てられ、神宮が伊勢に定まった後、神領の神明社として館後に神館(こうだて)神社が創建されたといわれ、神
館神明宮・神館明神とも称されています。(通称 若宮さん)

      
        神館神社                皇大神宮神庤??跡の碑                鏡ヶ池

「皇大神宮神庤??(2文字不明)跡」は、皇大神宮神庤之耈跡 (こうたいじんぐう かんだち の こうせき) かも知れません。
「皇大神宮」は内宮、「神庤」は神を祀る場所、「耈跡」は古跡、ではないかと推察します。

また、境内に「鏡ヶ池」があり、天照皇大神がこの地におとどまりの折、水を求められて作られた池で、その形が鏡に似ていたことよりつけられました。


<尾野神社>

倭姫命の父、崇神天皇の時代に創立されたと伝わり、立坂神社が合祀されています。
私が訪れた時、境内では祖霊社秋季大祭が行われていました。

      
       尾野神社入口                    本 殿                   立坂神社

「船繋ぎ松 由来」によると、この神社が船着大明神と呼ばれていたころ、船の出入りのあったことを物語る遺跡とされていました。

      
       祖霊社秋季大祭              船繋ぎ松 由来                 船繋ぎ松

この神社の背後の丘は前方後円墳で、前方部は大成小学校の校庭になっています。
また、この丘は尾野山城跡で織田信長により滅ぼされたといわれます。


<城南神社>

神社縁起より抜粋します。

 御祭神 天照大御神

 倭姫命が御巡幸あらし時、御停座の旧地と伝承されております。
 桑名の神戸でもあり伊勢の神宮との御縁故殊の外深い御社であります。
 古来、神宮式年遷宮ごとに皇大神宮一ノ鳥居及び古殿舎の一部を拝戴改築の古例になっております。

    

    
         句 碑                天照大御神御遷幸旧跡の碑

句碑には 「手水舎乃 上棟木の香 はつもみじ 斉月」 と刻まれています。


倭姫命、桑名市内のゆかりの地をご紹介しましたが、同時に日本武尊のゆかりの地も巡っていますので、次回に書きます。


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